司法書士が本人確認せずに権利証提出の代替手段「保証書制度」を悪用~第3章

2019年03月11日
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事件ファイル

司法書士が本人確認せずに権利証提出の代替手段「保証書制度」を悪用~第3章


【登場人物】
①司法書士Q
→6歳上の、身内の兄。私が転職して約3年後に重大犯罪を犯す。

司法書士で業務禁止の懲戒処分になると同時に、東京法務局の刑事告発により執行猶予付きの有罪判決が下される。

しかし、執行猶予期間中に無許可の測量会社を設立。

さらに、土地家屋調査士の名義借りを受け、無資格業務を長年行なった疑いで現在、法務省と東京法務局が合同調査に着手。この件で、警視庁にも情報提供がされる。

②私(M)
→この当時はまだ20代前半。子供の頃、DVを受けた兄に再び関わったことで人生が転落。

この頃から、プライベートがまったくなくなる仕事漬けの日々が始まる。

その結果、十数年後にほぼ末期の胃がんを宣告される。

前回、消費者金融の絶頂期に司法書士が行なった登記について書きました。


消費者金融の全盛期に繰り返された司法書士の違法登記~第2章

【登場人物】①司法書士Q→6歳上の、身内の兄。私が転職して約3年後に重大犯罪を犯す。司法書士で業務禁止の懲戒処分になると同時に、東京法務局の刑事告発により執行猶予付きの有罪判決が下される。しかし、執行猶予期間中に無許可の測量会社を設立。さらに、土地家屋調査士の名義借りを受け、無資格業務を長年行なった疑いで現在、法務省と東京法務局が合同調査に着手。この件で、警視庁にも情報提供がされる。②私(M)→この当時は...


消費者金融会社は、不動産担保ローンでお金を貸す引き替えとして、借り手側が提供する土地建物に担保(根抵当権)をつける訳です。


しかし、提供される担保(土地建物)は債務者(お金を借りる本人)が単独で所有しているとは限りません。配偶者や親が共同で所有している場合には、その全員から承諾を得て、不動産全体に担保を設定しなければならないのです。


高額な融資を受けるのですから、事前に関係者と話し合った上でお金を借りるのが当たり前に思うかもしれませんが、世の中はそう単純ではありません。


中には、どうにかして配偶者や親に内緒でお金を借りられないか?と虫の良い考えを持った人間がいるのです。


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「登記の番人」であるはずの司法書士が犯罪を助長


本来なら、他人と共同所有している不動産全体を、他の共有者に無断で担保に入れ、お金を借りようなどという事が通用するはずがありません。


しかし、一方では何とかしてお金を借りたいし、もう一方では、何とか融資を増やして出世街道を歩みたいと考えます。


そうしたお互いのエゴが同じ方向に一致することで、何らかのトラブルを生み出すきっかけになるのです。


その結果、「奥さんに内緒で不動産担保ローンのご利用を希望されるお客様がいるのですが、何とか登記してもらえないでしょうか?」という依頼が消費者金融から舞い込んでくるのです。


司法書士は「登記の番人」。このような実体に則さない登記の依頼があった場合には、毅然とした態度で断らなければなりません。仮に、次回から仕事の依頼がなくなったとしてもです。


ところが、私が転職した先の司法書士Qは、このような実体の伴わない登記の依頼も受けていました。犯罪を止め、正すべき立場にある司法書士が、むしろそれを助長させていたのです。


司法書士によって悪用された「ある制度」とは?


では、司法書士Qがどのようにして物理的に不可能と思われる登記を行なったのでしょうか?


まず、登記を行なうためには最低限、担保提供者側から以下の書類を預かる必要があります。


根抵当権設定契約証書(担保提供者全員の署名と実印の押印が必要)

印鑑証明書(担保提供者全員のもの)

権利証


①はなぜか、事前に、担保提供者から白紙のままの契約証書に署名させたものが用意されていることがほとんどでした。


ちゃんと説明を受けた上で署名したのか、真に本人が署名したものなのかは分かりません。何しろ、それについてQは本人から確認を取ったり、記録を残したりしていないのですから。


②は印鑑カードがあれば本人でなくとも取得できます。


③は、担保提供者が数人いた場合でも、1冊にまとめられて発行されるケースがほとんどです。


債務者本人が所持していれば、それで揃ってしまう場合もありますが、このようなケースに限ってそうでない事が多いのです。


奥さんが管理していたり、親が所持していたり…。挙句の果てには、呆れた理由を言ってくるケースもありました。


登記に権利証を使うと、完了後に法務局から「登記済」という印が押され、奥さんに怪しまれるから使いたくないと…。何とも虫の良い考えですね(汗)こんな事を言って違法なことをさせようとする客なんて無視すれば良いに決まってます。


しかしQは、目先の利益に目がくらみ、このような客を喜ばせる結果となる行動をとりました。


この当時、権利証がない場合の代替手段として不動産登記法によって定められた「ある制度」を悪用したのです。それは、登記保証書という制度でした。


権利証の代替手段「登記保証書」制度


この「登記保証書」という制度。現在では廃止され、より厳格な「本人確認情報」という制度にかわっています。なぜなら、登記保証書という制度はさまざまなトラブルを生み出し、悪法とされたからです。


登記保証書とは、権利証が紛失などで法務局に提出できない場合に代替手段として利用する制度でした。保証書は保証人が作成します。なお、「保証人」といっても、通常でいうところの保証人とは少し意味合いが異なります。


登記保証人とは


過去に登記された事がある成年者が保証人となって、権利証の代わりに所有者(登記義務者)が人違いでないことを証明(保証)する制度です。仮に、所有者が人違いで将来トラブルとなった際には保証人が全責任を負うことになります。


司法書士が作成する登記保証書のサンプル


保証人がいれば、権利証の代わりに保証人が作成した保証書(人違いのなきことの証明書ともいう、実印の押印が必要)と保証人の印鑑証明書を提出することで代替できてしまうのです。


Qはこの制度を悪用し、自らが保証人となることで、法が要求する権利証という難題をクリアしたのです。しかし、それはもちろん違法な行為でした。何しろ、会ったこともなく、担保提供の意思さえあるか分からない人を保証しているのですから。


もし今になって、自分が知らないうちに保証書を使って担保を設定されたという被害者が名乗り出てきたらQはどのようにして責任を取るつもりなのでしょうか?


犯罪の温床下のもと「事件」は起こるべくして起こった


このように、法務局へ提出する保証書だけ揃っていれば権利証がなくても登記ができてしまうため、殺人事件などの凶悪犯罪にも悪用されました。


現在の「本人確認情報」制度は、所有者本人の身分証明書のコピーまで提出が求められますから、簡単に悪いことが出来なくなった訳です。


ちなみに、この保証人という制度。仮に、先に述べた①の契約証書を誰かが担保提供者になりすまして代筆してしまった場合はどうなってしまうのでしょうか?もし、それを誰も確認してなかったら、担保提供者が知らないうちに勝手に登記できてしまうのですから本当に恐ろしい制度です。


また、現在では「高齢化」が進み、所有者が高齢で認知症を発症しているケースも多くなりました。その場合は本人が不動産を処分することが出来ず、「成年後見人」を選任しなければなりません。


担保提供者が高齢の場合、後ろから高齢者の手を押さえて契約証書にサインさせたケースもありました。


前回の記事でも書きましたが、犯罪はある日突然、簡単に行なえるものではありません。


私が移った職場は、まさに犯罪の温床とも言うべき環境化にあったのです。事件は運悪く起きたのではなく、このような環境下で起こるべくして起こったのです。

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Posted by M
ブロガー/ファッション研究家/会社経営/ヘッドスパとスイーツをこよなく愛する45歳/おうちごはん男子部 所属/料理を悪戦苦闘修行中/2011年38歳の若さでほぼ末期の胃がん宣告/奇跡的に生還!/人生なんて気持ち次第!!きっとなんくるないさ~

Comment 2

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M  

To -さん

はじめまして。
コメントありがとうございます。

どうなんでしょうか。処分も終わっていることですし...

アドレスをメール頂ければプレリリースを作ってお送りしますよ。

ありがとうございますm(__)m

2019/03/11 (Mon) 02:20

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2019/03/11 (Mon) 02:05

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