【事件の相続関係】司法書士Qに「人生最大の因果応報」が!~第6章

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2019-03-19
事件ファイル
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【登場人物】

①司法書士Q→6歳上の、身内の兄。私が転職して約3年後に重大犯罪を犯す。

司法書士で業務禁止の懲戒処分になると同時に、東京法務局の刑事告発により執行猶予付きの有罪判決が下される。

しかし、執行猶予期間中に無許可の測量会社を設立。

さらに、土地家屋調査士の名義借りを受け、無資格業務を長年行なった疑いで現在、法務省と東京法務局が合同調査に着手。この件で、警視庁にも情報提供がされる。

②私(M)→この当時はまだ20代前半。子供の頃、DVを受けた兄に再び関わったことで人生が転落。

この頃から、プライベートがまったくなくなる仕事漬けの日々が始まる。

その結果、十数年後にほぼ末期の胃がんを宣告される。

前回の話し『ブログの「反響」と司法書士Qが犯した『事件の始まり』~第5章』の続き。

司法書士Qが犯罪を行なうきっかけとなった「相続絡み」の案件が、消費者金融会社(今でも清潔感あふれるCMでお馴染みのA社)に持ち込まれました。

【事件の相続関係】司法書士Qに「人生最大の因果応報」が!~第6章


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消費者金融会社に担保として「相続登記未了の土地建物」が差し出された

消費者金融会社に担保候補として持ち込まれた相続登記未了の土地建物のイメージ

融資の申込人(債務者)が担保候補として、お金を借りる代わりに差し出したのは、実家の土地建物でした。所有者は、名義変更がされておらず、未だに亡くなった父親名義のままです。

融資の申込人は長男ですが、母親はすでに亡くなっており、次男と2人で遺産分割協議を済ませてあるらしい。

職業は、現在でもテレビCMが放送されるほどお馴染みとなっている不動産会社で管理職(課長)をしており。仕事柄、相続登記には明るいと言っていたようです。

遺産分割協議により、単独で相続しているので、相続登記をした上で担保に提供したいという意向でした。

申込人(債務者)が説明する相続関係

消費者金融会社には、遺産分割協議書や相続関係を証明する戸籍謄本などの書類一式が持ち込まれていました。すべて申込人が揃えたそうです。事前確認のため、司法書士Qの元に関係書類がFAXされてきました。

申込人の説明によると、相続関係は次のようなものでした(話しを分かりやすくするため、内容を若干簡略化してあります)。

司法書士の事件簿~私が見た戸籍偽造の真相「融資申込人による相続関係の説明図」

被相続人は父親のA。母親Bはすでに死亡しているため法定相続人はC、Dの兄弟2人です。各2分の1ずつの相続分を遺産分割して、Cの単独所有ということでした。

内容に間違いがなければ数日後に融資が実行され、相続登記と根抵当権設定登記を連件申請することになります。

「戸籍が足りない?!」従業員が不備を指摘

しかし、前回の記事に書いたとおり、司法書士Qは軽く内容を見ただけでろくに戸籍を確認せず「創価学会の会合があるから」と、昼間の3時4時の間に帰ろうとしていました。

「戸籍が足りない?!」従業員が不備を指摘

そんな中、気になった従業員が戸籍を見ていると、あることに気付きました。「これって、戸籍が足りないんじゃないですか?」

母親Bはすでに死亡していましたが、死亡時期に問題がありました。被相続人Aが死亡した約1年後に亡くなっていたのです。

すなわち、母親BはAが亡くなった時点でいったん相続している訳です。よって、その後Bが死亡した時にBの相続分についてさらに相続が発生していることになるのです。

司法書士Qが戸籍のチェックを怠った!A社に融資実行OKと連絡

母親Bの子供が他にいないのか、Bの出生当時まで遡って戸籍を調査しなければなりません。従業員は、そのことを司法書士Qに指摘しました。

すると司法書士Qは「そんな訳ないだろう。何かの話しと間違えてるんだよ。このケースは問題ないし、Bの戸籍を遡って取る必要もないんだよ。こんな事も分からないのか」と言い、ろくに戸籍をチェックもせずに消費者金融へ連絡。相続関係に問題ない旨を伝えました。そして、そそくさと帰って行ったのです。

分かってないのは司法書士Qの方でした。馬鹿にされた従業員は、そうだったのか!といった感じで言いくるめられてしまい、追及はしませんでした。みんな司法書士Qのことを恨んでいましたし...。その後は誰も戸籍に疑いを持たずに、A社による融資の決済を待つことになりました。

司法書士の世界では、相続登記と決済(大きなお金が動く取引)は同時にやってはいけない、と言われています。なぜなら、決済が絡むと相続登記の準備に時間が足りないことが多く、ミスが生じやすいからです。

司法書士に「人生最大の因果応報」が訪れた瞬間

司法書士に「人生最大の因果応報」が訪れた瞬間

ちゃんと戸籍をチェックせず、従業員の指摘にも耳を貸さず…。

この当時は消費者金融の全盛期で、登記の仕事も倍増していました。モラルの点から司法書士が誰も引き受けないサラ金の登記を引き受けることで、司法書士Qの仕事も絶頂期を迎えていました。

きっと、儲かっていたことで有頂天となり、慎重さを欠いていたのでしょう。しかし、司法書士の職責は、法律関係に漏れがないかどうかを依頼人に代わって細かくチェックすることにあります。

創価学会にうつつを抜かし、仕事を従業員に丸投げした瞬間に、天は彼を見放し、司法書士Qの人生は終わりを遂げたのに違いありません。司法書士Qに、人生最大の因果応報が訪れた瞬間でもありました。

司法書士の事件簿~私が見た戸籍偽造の真相「事件の相続関係図」

何と、実際の相続関係はこんな感じだったのです。

高妻 新 (著), 荒木 文明 (著)
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
高妻/新
大正11年宮崎県に生まれる。法政大学法学部卒業。前・宇都宮・浦和・横浜各地方法務局戸籍課長。法務省民事局第二・五課課長補佐。東京法務局(本局・支局・出張所)登記官。昭和57年から14年間東京家庭裁判所参与員。昭和55年から29年間司法書士

荒木/文明
昭和12年秋田県に生まれる。東京法務局調布・練馬出張所登記官。同民事行政部戸籍課・八王子支局戸籍指導官。新潟地方法務局戸籍課長。東京法務局民事行政部戸籍課長。浦和地方法務局大宮・川越支局長。平成9年1月から東京家庭裁判所参与員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



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